厚生労働省統計によると、日本での死亡率順位は 下図のように 、第1位は「悪性新生物」すなわち「がん」で、2位が「心疾患」、3位、4位、5位は年ごとに変化しており「老衰」、「脳血管疾患」、「肺炎」となっています。
この変化は、医師の死亡診断の書き方によるところも大きいでしょうが、もとより食生活の変化や、高齢化、さらには病気の診断にかかわる先端技術の発展などが少なからず影響していると予想されます。
いずれにしても、人生まずは健康でいたいと思うのは万人の思いではないでしょうか。
病気の発症前にそれを予測し、あらかじめ予防的な治療を行うことにより病気の発症を遅らせる医療行為を「先制医療」といいます。
先回りして、発症を食い止めるあるいは遅延させるということです。
先制医療を進めるうえで、すでに健康検診などが行われており、血液や尿などに含まれる、DNAやRNAなどの核酸、タンパク質、糖質、脂質などのバイオマーカーと呼ばれる量などから疾患の発見に至ることも少なくありません。
近年では、疾患には多様性があり、個々の遺伝的素因や遺伝情報の一部の変化が、かかる疾患やその進行度などに関係することもわかってきており、医療の個別化の必要性も議論されています。
疾患によっては発症以前に一定の確率で予測することも既に可能となりつつあります。
一方で、むやみに検査や検診をすることは、コスト面からも得策ではありません。
エビデンスに基づいた医療を広げるために我々は何をすべきでしょうか?